皐月の空に咲く一輪の華

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もしあの日貴女に出逢わなければ もしあの日貴女との約束を守らなければ 今この躰は楽だったのだろうか あの日あの時あの場所で 貴女を置き去りにしていれば この躰を蝕む振り子も感じずに済んだのだろうか 胸を切り裂くこの感覚 何度も何度も往復しては えぐれた傷痕を更にえぐり返す 不安に怯え 孤独に怯え 恐怖に怯え 飢えに怯え 貴女を待ち焦がれる もしあの日貴女に出逢わなければ こんなに貴女を欲する事もなかったのだろう もしあの日貴女との約束を守らなければ 僕らは… 皐月の草原に咲く一輪の華 その華はとても繊細で 美しく 悲しげな華 孤独に耐え それでも咲き続けていた あの日そんな貴女に僕らは惹かれた 泣いて良いよ 貴女の涙 1人じゃないよ 僕らがいる もしあの日貴女に手を差し伸べなかったら 僕らは この躰は 沼の底に沈んでただろう もしあの日貴女に全てを告げなければ 今はどうなってたのだろうか あの日あの時あの場所で 貴女に出逢い 恋し 貴女を愛し 傍に居続けたいと願わなければ 貴女はどうしてましたか? もしあの日貴女に出逢わなければ 愛をしらずに過ごせただろう 貴女は大きな罪を犯した 僕らの心と躰を奪い それを裏切ったのだから 一生涯かけて償って貰おう 貴女の心に鍵をかけ 僕らの心にも鍵をかけて もう誰にも入り込まれぬ様 僕らだけの心を そして貴女の手で この錆び付いた振り子にえぐられるくらいなら せめて貴女の手で この胸を切り裂いておくれ 辛い過去を乗り越えられる様 貴女で貴女だけでいっぱいになる様に この躰とこの胸を 貴女で全て埋めておくれ 心も躰も貴女の愛で全て満たされる様に もしあの日貴女に出逢わなければ 貴女に… 皐月の心に咲いた一輪の華か細く悲しげな華 そんな貴女の傍に居続けたいと願う 今も昔も変わらずに 草原に咲く一輪の華を 僕らの心に育て これからも咲かせ続け様 貴女が望む限り いつか皐月(僕)の心 全てがなくなったとしても貴女を想うこの心だけは この躰に 全てを 受け継ぎ 育て続け様 貴女を愛した証を 僕らの中に 貴女と言う一輪の華を もしあの日貴女に出逢わなければ もしあの日貴女との約束を守らなければ もしあの日貴女に… 僕らは… 貴女は… この心は…この躰は… 最愛なる一輪の華よ この躰 この心が 朽ち果て様とも 最愛なる一輪の華 貴女だけは… いつまでも… 僕らの…
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