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俺ははやる気持ちをなんとか押さえ付けて平静を装うのに必死だった
「ごちそうさま」
「ん、美味しかった?」
料理は残さず綺麗に食べられた
食べ終わった多串君に尋ねる
「……うん」
「え」
多串君は短く答えて直ぐに食器を重ね、台所へ運んで行った
そんな思わぬ多串君の返答に面食らった俺はワンテンポ遅れて立ち上がる
『多串君が素直だなんて珍しすぎて先生ちょっと焦ったじゃん
まさか美味しいって言ってくれるなんて…あの照れ屋でツンデレでMな多串君がだよ?誰も予想しないよなー
もしかしてこれも薬の効果とか?』
これからの変化を期待した俺はワクワクしながら食器を運んだ
台所に入ると流しの前に突っ立っている多串君
近づいてみると心なしか呼吸が荒くなっている
「多串君?」
「!?…せんせ」
振り返った多串君の頬が朱くなり瞳も若干潤んでいる
『ナニナニナニナニ!?このエロエロな子は何?なんかものっそ誘われてるんですけど、何この子フェロモン垂れ流しですかコノヤロー!!んなことしたら先生の息子さんが元気になるじゃないかぁぁああああああああもう元気だよ、準備万端だよぉおおおお』
「具合悪いの?」
明らかに欲情してる多串君にわざと尋ねてみる
すると緩く頭を横に振り拳を握りながら何でもないという多串君
「違う、何でもない………洗いものやるから、先生は休んでて」
「んーでも…」
「何でもないから!!」
多串君は少し大きな声をだして言い張った
『まぁ…下手に心配すると薬盛ったのばれちゃいそうだし、ここは大人しくしとこうかな』
「じゃあお言葉に甘えようかな、先生はソファーに座って待ってよーっと」
『薬の効き目は少し時間がかかるみたいだし…あー早く効いてくれねーかなー』
ソファーに座り多串君が食器を洗っている間、俺は妄想を膨らませていた
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