第一話

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「お待ちしておりました! 我等が主!!」 「うわっ」 それにぶつかる寸前でなんとか止まった。 茂みから飛び出してきたのは、青年だ。 闇を切り取ったかのようは漆黒のコートとズボンを着ている。 …凄く、怪しい。 この時間に、こんな所で一体なにをしているのか。 そして何故、オレの前に立ち塞がっているのか。 「…すいません。急いでるんで…」 オレはなるべく青年と目を合わせないようにして、この場から逃れることにした。 歩き出そうとしたオレを青年は慌てて引き止める。 「待って下さい、我等が主」 「…変な勧誘はお断りしてるんで」 本気で走り出そうとするオレを、青年は前に回り込んで止める。 「驚かせたのなら謝ります、我等が主。久しぶりに会えたから嬉しくて、つい…」 「…久しぶり…?」 オレは長身の青年を改めて見上げた。 日本人という感じはしない。胸元まで伸びた黒髪に、ライトブルーの瞳。 …こんな人と知り合いになった覚えはない。 と、いうことは。 「あの…人違いだと思うんですが」 少し安心して息をはいた。 きっと誰かと間違えたんだろう。
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