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オレは早く休みたい一心で扉を開けた。
「お帰りなさいませ!我等が主!!」
…ありえない声が聞こえたので、そのまま扉を閉めた。
疲れてる、疲れてるから幻聴が聞こえただけだ…!
そう思い込みたいのに、声の主―先程の怪しい青年がオレの部屋から出て来た。
「どうしました?我等が主」
「…なんでいるんだ…」
公園から家まで一直線なので、抜かされればわかる。
なのにこの男、どうやってここまで来たんだ。
「俺はあなたの側にいなければなりませんので」
青年は爽やかな笑顔で、答えになっていない答えを言った。
「…母さーん、警察呼んでー」
もうオレの力ではどうしようもないので、大人に頼る事にした。
だってコイツ、不法侵入だし。
どうしたのー、と何も知らない母が呑気に階段を上ってきた。
そしてオレの隣にいる、怪しい男を見て目を剥いた。
まあ、当然の反応だろう。
だが次の母の言葉に、オレは固まってしまった。
「…葛城(カズラキ)君?まぁ、葛城君じゃない!」
母は嬉しそうに怪しい青年に駆け寄った。
「大きくなったわね~!」
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