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それでも、雷にはちゃんと伝わった。
「ここだな…
気を付けるのだぞ?」
翔は二人にそう言うと、背中に背負ったケースから木刀を取り出して構えた。
そこで、ある違和感を感じた。
「どう…なっている?
奴の気配が消えた!?」
雷の両親の仇である魔物の気配がピタリとしなくなった。
一瞬で…
翔は気配のしていた方に走った。
走りながら気付く、その気配があった場所に別の気配がする。
剣斗の気配とも近い、しかしどこか違う気配。
姿が見えて来た。
剣斗が声を上げる。
「あれは!」
「剣斗、知り合いか!?」
「…………
俺の…従兄弟です…
二年前に、あいつは家族を殺されて、それ以来魔物を中心として殺戮を繰り返している…」
そこにいたのは、わずか50cmの小さな少年。
外見は、どこか剣斗に似ていた。
従兄弟だからだろう。
少年は白い服に身を包み、その白い服には返り血による染みが多数見て取れた。
「剣斗…か?
何をしに来た?
もしかしてボクを殺しに?」
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