夜の『街医者』です。

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私はある『カクテル』を作り始めた。 レシピは(ブランデー20ml カカオ20ml 生クリーム20ml)シェイクしてカクテルグラスで出す。 “アレキサンダー”と言う名のカクテルである。 このカクテルは、1863年のイギリスの皇太子エドワード(後のエドワード七世)とデンマークのアレクサンドリア王女の結婚式、又は1901年のエドワード七世の戴冠式の祭に、献上されたカクテルと言われております。 このカクテルは、『酒と薔薇の日々』でも有名で、主人公がアレキサンダーの飲み過ぎで、アルコール依存症になっていく映画である。 彼女は、初めて呑むらしく、恐る恐る口にした。 一口目を口に含んだ瞬間、まるで子供の様な笑顔になっていた... 『甘くて美味しい!!チョコレートの味がする!』 私は喜ぶ彼女に 『美味しいでしょう!でも、飲みやすいからと言って飲み過ぎては駄目ですよ。お酒は“薬”にもなるけど飲み過ぎると“毒”にもなります。ですから、私達“バーテンダー”がお酒を“処方”するんです。言わば、“夜の街医者”なんです。』 彼女は感心しながら私の話しを聞いていた。 本当は素直な良い子なんだ....さっきとはまるで別人の様に私の瞳には映っていた。 カクテルを飲み終えた彼女は 『有り難う!何だか元気が出た!最近ちょっと落ち込んでて荒れていたんだ。でも、もう大丈夫!また来るね!』 そう言いながら席を立ち、ドアに向かった。 『有り難う御座いました。またのお越しをお待ちしております。』 振り返った彼女の顔は、何か吹っ切れた様に明るく輝いていた。 『今度来たら、いっぱいお酒教えてね!』 私は笑顔で応えた。 『はい、喜んで。』 “バー”には色んな方が来られます。何か良い事があった人、落ち込んでいる人、仲間と語りたい人と十人十色です。 でも、皆様は考えた事がありますか? 何故、バーに行きたくなるのか..... 多分....そこが.... 貴方の『best place』だからです。 おしまい
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