Bar Paranoiaへようこそ🎵

本物は.....?

『実は、とある場所で飲んだモスコミュールがどうしても忘れられなくて、ずっと“このスタイル”のモスコミュールを探し求めていたんです。』

男は、嬉しそうにもう一口飲んだ。

『そうですねぇ、このスタイルでモスコミュールを出すお店は、あまり無いかも知れませんね。』

私がそう言うと、男は更に語り始めた。
『モスコミュールって、ウォッカを売りたい人と、ジンジャービアを売りたい人と銅製のマグカップを売りたい人が考えたカクテルと、聞いたんですが本当ですか？』

男は尋ねてきた。

私は、

『はい、そう言う説もございますが、1940年代の初め、ハリウッドの“ジャック・モーガンと言うバーテンダーが、イギリスのリキュールである“ピムスNo1”を使ったカクテルの為に大量に仕入れたジンジャービアの在庫を処分するために考案したとされている説と、1946年にスミノフブランドのウォッカの販売促進の為にスミノフを使った手軽に作れるカクテルを製造元のヒューブライン社(現在はディアジオモエヘネシー)が紹介した為に広がったと言う説が有名ですね。』
と、説明してあげた。

男は、残り少ないモスコミュールを大事そうに飲み干した。
『とても美味しかったです!有り難う御座いました。また来ますね！』

と席を立った。

男はドアにさしかかった時に

『偶然に此処のお店に入ったんだすけど、入ってみて良かったです。』

そう言い残して男は帰って行った。

皆様は、『Bar』って何か入りづらいとか、敷居が高そうとか思ってませんか？
そんな事はありませんよ.....

『Bar』の入り口には“ある願い事”がされています。

『出る時には、入る前よりも少しだけ幸せな気持ちになれるようにー。』

おしまい