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温故知新....
今夜も、いつの間にか開いている『Bar Paranoia』
今宵は、一組のお客様が来られたようです....
🔔★🎵(カランカラン)
『いらっしゃいませ🎵』
本日のお客様は、常連様のとある会社の社長とその部下であった。
いつものように、カウンターに座る社長とその部下。
どうやら、仕事の話しで揉めている様である。
しきりに部下は
『社長!お願いします!どうか聞く耳を持って下さい!』
社長は煙たそうにしていた....
私は頃合いを見図り、オーダーを聞いた。
『お飲み物はお決まりでしょうか?』
社長は
『いつものをくれ!』
部下は
『私も同じ物を。』
『かしこまりました。』
私は『いつものを』作り始める。
『いつもの』とは、シングルモルトウイスキーのタリスカーをオンザロックである。
タリスカーとは、スカイ島にある蒸留所で作られ、口に含むと『舌の上で爆発する』と表現が使われる程、飲み応えのあるウイスキーである。
私は、オールドファッションドグラスに丁寧に作った丸氷を入れ、タリスカーを優しく注ぎ入れた。
急激な温度変化により、丸氷がグラスの中で『パキッ』とヒビが入り、その音色がお店に僅かに響き渡る。
そして、相変わらずの二人に静かにお出しした。
社長は、いつものように香りを楽しんだ後に一口だけ口に含み、舌全体で楽しみその後にアフターの香りを楽しんでいた。
部下は、初めて飲むのだろう、香りを嗅いだ後に眉間にシワを寄せつつも、一口目を口にした。
その瞬間に
『うわっ!何ですかこのお酒は?薬みたいだし、キツイです。』
そんな部下を横目に社長は、美味しそうに呑んでいた。
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