はじめに

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🔔★『カランカラン🎵』 お店のドアの鐘が、オープンしたばかりの澄んだ空気に軽く響き渡る...... 早い時間の常連様だ マ 『いらっしゃいませ🎵と言うよりは、お帰りなさい💕ですかね💦』 Tさん 『ん⁉じゃぁ、ただいまかな💦』 少し照れながら、男はいつもの『指定席』へゆっくりと腰掛けた..... マス太 『何になさいますか?』 Tさん 『とりあえず、ジントニックを下さい。』 『かしこまました。』 私は“作業”に取り掛かる。 しかし、私はお酒を作るにあたって、“作業”とは思いたくない。 ある意味『儀式』に近いと..... Bartender とは『バーで愛情を注ぐ人』と言う意味もある。 その『一杯』には溢れる程の愛情を注いでいるのです。 私は、ジントニックを作り始める.... ライムを選び、グラスの縁をカットしたライムで軽く濡らす。 ライムの香りを楽しんで頂くために.... ライムを軽く絞る....エグ味が出ないように ジンを静かに注ぐ 氷を小さい物から入れ、最後に大きい目の氷を入れ、トニックウォーターを優しく注ぐ。 最後に軽くステア。 『ジントニック』の出来上がりである。 お客様に差し出す 心を込めて..... Tさんは、最初に軽くライムの香りをかいだ後、一口目を口に含み飲み込んだ。 数秒間の静寂が二人の間に流れ、BGMのジャズが少しだけ遠くに聴こえた気がした。 Tさん 『美味しいね....』と、軽く微笑んだ。 何回言われても嬉しい御言葉である。 少し落ち着いたTさんは、おもむろにタバコを出し、お気に入りのジッポで火をつけた。 止まっていたかのような、お店の空気中に漂う煙りを見つめ、静かに時が動き始めたのを感じる夜でした。
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