温故知新....

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タリスカーに足したリキュールとは、『ドランブイ』である。 ドランブイとは、モルトウイスキーをベースに蜂蜜、ハーブ、スパイスなどから作られるリキュールで、スコットランドのスカイ島で製造されている。名称はゲール語の“満足出来る酒”から由来している。 社長は 『何をしているんだ!わしの酒に!』 『まあまあ、とりあえず飲んでみて下さい。』 部下と社長は顔を見合わせた後に一口だけ口に含んだ。 すると、 『おっ!これは良いね!タリスカーの味を損なわず、独特の甘味が全体をまろやかにしている。』 続いて部下も 『あれ!?さっきまで飲みにくかったのに、これなら美味しく飲めます!』 私は少しだけお話しさせて頂いた。 『こちらは、カクテル名を“ラスティーネイル”と言います。色合いが錆びた(Rusty)釘(Nail)の様に赤茶色の為と言う説と、イギリスの俗語で“古めかしい物”と言う説の2通りがあります。』 『ふ~ん、古めかしい物か....』 社長は何か思いつつも語り出した。 『まったく!本当にお節介なバーテンダーだな~!孔子の言葉か.....“子曰わく、古きを温(たず)ねて、新しきを知れば、以て師を為(しか)るべし”要は温故知新だろ?』 『まぁ、そんなところですかね.....』 社長は納得してくれたのか、部下の話しを聞き始めた。 『しょうがない、お前の話を聞いてやるか....』 部下は嬉しそうに喋りだしたのだった...... いつの間にか人は、時代や流行に流され“大事な物”を忘れがちになるものです。 かく言う私もですが..... カクテルの世界でも同じように、昔ながらのスタンダードカクテルが、飲まれなくなって来ているような気がします。 今宵、『Bar』に出掛ける機会がありましたら、オーダーしてみては如何でしょうか?“ラスティーネイル”を.... ちなみに、先程の二人が来た時に『いつもの』が“ラスティーネイル”に変わったのは言うまでもありません.... おしまい
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