22人が本棚に入れています
本棚に追加
雪見酒
さぁ、今夜も新たなお客様が来られた様です。
『Bar Paranoia』に.....
今夜はやけに冷え込む。
空模様は、今にも雪が降り出しそうである.....
🔔★🎵(カランカラン)
お客様の御来店を告げる鐘の音が、オープンしたばかりの店内に優しく響く。
『いらっしゃいませ。』
ドアに目を向けると、常連様の一人が凍えて立っていた。
『降ってきたよ!雪!!』
そう言いながら、肩に積もった雪を払いカウンター席に座った。
『やはり降ってきましたかぁ。』
私は彼に、温かいお絞りを渡しながら呟いた。
手を拭きながら彼は、オーダーを何にしようか悩んでいた。
私は少し考えて、あるカクテルをお薦めした。
『お客様、こんな夜には“雪見酒”なんか如何でしょうか?』
彼は、不思議そうな顔でこちらを見ていた。
『雪見酒?まだそんなに積もってないよ。』
私は、
『大丈夫ですよ。』
と言いながらカクテルを作り始めた。
最初のコメントを投稿しよう!