雪見酒

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雪見酒

さぁ、今夜も新たなお客様が来られた様です。 『Bar Paranoia』に..... 今夜はやけに冷え込む。 空模様は、今にも雪が降り出しそうである..... 🔔★🎵(カランカラン) お客様の御来店を告げる鐘の音が、オープンしたばかりの店内に優しく響く。 『いらっしゃいませ。』 ドアに目を向けると、常連様の一人が凍えて立っていた。 『降ってきたよ!雪!!』 そう言いながら、肩に積もった雪を払いカウンター席に座った。 『やはり降ってきましたかぁ。』 私は彼に、温かいお絞りを渡しながら呟いた。 手を拭きながら彼は、オーダーを何にしようか悩んでいた。 私は少し考えて、あるカクテルをお薦めした。 『お客様、こんな夜には“雪見酒”なんか如何でしょうか?』 彼は、不思議そうな顔でこちらを見ていた。 『雪見酒?まだそんなに積もってないよ。』 私は、 『大丈夫ですよ。』 と言いながらカクテルを作り始めた。
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