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サヨナラ三角また来て四角
いつの間にかオープンしている
『Bar Paranoia』
今夜はどんな妄想のお客様が御来店されますかな.....
『今夜は仕込みが多いな....💧』
私はブツブツと、最近の出来事を思い出しながら仕込みを続けた。
すると、ドアの鐘がいつもより大きな音🎵で鳴った。
🔔✨★(カランカラン❗)
そちらに目を向けると、たまに来るオーストラリア人のマークだった。
『ハ~イ🎵マス太❗ゲンキ⁉』
相変わらず💧ハイテンションである。
しかし、ちょっと元気が無いような気もするが、忙しい私は流した。
『イェ~ス🎵イッツファイン⤴』
日本語で質問されているのに💧何故か英語で返してしまい、思わずマークに笑われてしまった。
『マスタ、エイゴウマイネ🎵』
マークは飛行機のパイロットで、日本に来たら必ず此処へ寄ってくれた。
そして、オーストラリアでの話しや家族の事など、面白可笑しく話してくれ、私はその話しでいつも和まされていた自分に気付いていた。
そんなマークだが、今日はやけにお喋りだ。
『ヘイ🎵マーク、今日は酔ってるの⁉』
マークは、好きなウイスキーを軽くあおりながら言った.....
『マスタ、キョウデサヨナラネ....マークノカイシャ、フケイキデシゴトガヘッタヨ...』
グラスに残っていたウイスキーを、今度は一気に飲み干し、マークはカウンターを見つめていた。
そして、数秒後マークの目から光る何かが零れ落ちた。
確かに『涙』である。
あの、いつも陽気なマークが.....
私は言葉に出来ず、一杯のカクテルを出す事にした。
うなだれているマークを横目に、カクテルを作り始める。
そして、いつものようにシェーカーの音が店内に響き渡る。
今夜のシェーカーの音は、どことなく....もの悲しさを含んだ音色だった。
マークは、キョトンとした顔でこちらをいつの間にか見ていた。
出来上がったカクテルをマークに差し出す。
マークは不思議そうな顔で質問してきた。
『マスタ、ナニコレ⁉ワタシ タノンデナイヨ』
私はマークの少し斜めに立ち
『マーク、このカクテルは名をバルーション。意味は“旅立ち”と言います。』
そう言うとマークは.....
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