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その女性は、『慈しむ』かの様に香りを少し楽しみ、一口目を含んだ。
目を閉じながらゆっくりと呑み込む......
そして軽く深呼吸をして
『美味しいわ。そして似ている....あの人の味に...』
どうやら、マティーニに大分思いれが有るらしい。
興味津々な私は聞いてみた
『マティーニがお好きなんですか?』
女性は少し曇った表情に変わった。
私は『触れてはいけない』とこに触れてしまったかな?と、話題を変えようとした瞬間に、女性が重い口を開き始めた。
『実はね、夫が若い頃“バーテンダー”をしていてね、その時にマティーニを覚えたの。』
語り始めた女性の顔は、まるでその時にタイムスリップしたかの様に少し幼く見えた。
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