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ピリリリリッ
校門を出てすぐに、特に特徴もない着信音が鳴った。
「なんだ」
「日常の演技」を終え、裏の雰囲気を纏いながら電話にでる。
俺の名前は赤崎宗太郎。
どこにでも居そうな特徴を持つ、特に気にとめることもないような、どこにでも居そうな高校生である。
だが、それはあくまでも「表」の話だ。
特に感情を込める必要がないため、無表情になる。
歩きながら、誰も通らないような裏路地へと入っていく。
「今日の仕事の話か?」
『察しがいいですね。流石、と言うべきでしょうか?』
二十歳前後の女性の声が、極めて事務的に答えてくる。
しかし、声なんて情報を伝えるものの特徴など、心の底からどうでもいいと思う。
「どうでもいい。内容は?」
『最近、舞阪市内で不穏な動きが見えます。《魔蟲》だと思われるので、《咎人》の出動を要請しています。如何ですか?』
「わかった。詳しい位置を送ってくれ」
会話が終了し、用のなくなった携帯をポケットにねじ込む。
「さて、仕事か」
今からが、俺の「本当の日常」なのだ。
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