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巨大な《魔蟲》の鳴き声は、常人なら鼓膜が痛くなってしまうような音量だったが、俺は馴れてしまった。
鳴き声を無視して、腕を一直線に《魔蟲》に向ける。
パチンッ
俺は指を鳴し、《魔蟲》の目の前に大きな炎を出現させる。
端から見れば、爆発したようにも見える。
ドゴォォォン!!
炎の勢いで《魔蟲》の巨体が後方に倒れる。
これが俺の『能力』。
常識では考えられない超常現象を起こす俺のような人間を、人は《咎人》と呼ぶ。
そして、その超常現象の元となる『能力』を『罪』と呼ぶのだ。
俺は《魔蟲》が起きあがる前に、追撃を開始する。
パチンッ、パチンッ、パチンッ
ドゴォォォン!!ドゴォォォン!!ドゴォォォン!!
《魔蟲》の居た場所は、砂埃でよく見えなかったが、恐らく原形をとどめていないはずだ。
砂埃が晴れると、そこには数10本の《魔蟲》のもげた足が落ちていた。
「チッ、逃がしたか」
俺は、《魔蟲》を追って廃工場を後にした。
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