11/20
前へ
/46ページ
次へ
そんなあたしの足の先が見えているのか悠斗は 『さくら、ちょっとこっち来い』 むちゃを言う 『なんでよ…』 『いいからこっち来いよ』 自分の隣りをポンと叩くけど、今1ミリだって動けない 『いや、無理だから』 視線を逸らしてそっと足を崩した。指先で摘んでも感覚は無い 『んだよそれ』 ふてくされる理由は無いんで無いかい、悠斗さん。足が痺れてなくても隣りに行く気は無いけどさ 『なんか話があるんじゃないの?』 『あーまあ、そうだけど。 …俺S大受かったんだ』 『そう、おめでとう』 『それでさ…俺このマンションに越して来たんだよな』 なんだそんなこと?珍しく歯切れの悪い悠斗は頬を指で掻く。悩んでいる時の癖はずっと変わらないらしい 『うん、そうだと思った。それであたしは悠斗の分もご飯作ればいいんでしょ?』 『えっいいのか?』 目を丸くする悠斗は多少なりとも気にしていたようだ。お互い話さなくなって久しいから、頼んでいいのか悩んだんだろう 『いいよ別に』 『そっそっか、良かった』 ホッとした表情で悠斗はニカッと笑った。不覚にもときめいてしまった自分が情けない
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

903人が本棚に入れています
本棚に追加