いち

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目的地が同じだから学校に行くのも自然と一緒になった 売り出されたばかりの分譲地は風が吹けば砂埃が舞う空き地ばかりで同じ学校に通う人はあたしたち以外いなかったから 学校に着くなりクラスメイトに囲まれる彼があたしを誘うようになったのは寂しいお隣さんに同情したのかもしれない 『佐藤も来いよ』 ドッジボールに誘う金田悠斗に驚いたのはクラスメイトだけで無く 『金田どうしたんだ?』 たまたま教室に残っていた先生が思わず口にするのも仕方ないことだった 『オレの幼なじみになったんだ。仲良くするのは当たり前だ』 クラス中の“?”マークに気付くことなく、そう言った金田悠斗はあたしを輪の中へ入れた 最初は戸惑っていた仲間たちも、次第に気にしなくなる 強引だけど、不思議な魅力を持つ人だと思った
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