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朔
「…。」
無言で少女を見つめる朔。
すると、
さすがに視線を感じたのか、
少女が目を覚ました。
「ふえ…っ?」
かわいらしい声がもれた。
そのまま少女の目が合った。
朔
「…。」
「…。」
しばらく見つめ合う二人…。
少し気まずいなか、
先に言葉を発したのは、
少女だった。
「あ、…おはようございます。
えっと…中道 朔さんですよね?」
突然ながら、
名前を当てられたことに
朔は驚いた。
見知らぬ少女に名前を
当てられるなんて…。
すごい世の中になったな…。
と、勝手に解釈した朔だったが
朔
「とりあえず、おはよう。
で、えっと…君は?」
とりあえず、
相手がこちらを知っているなら、
こちらも相手を知るのが一番
だと考えた朔。
その朔の質問どおり少女は
答えてくれた。
「わたしは、天使です。
あ、名前は天使じゃなくて、
光輝 千代といいます。」
(みつき ちよ)
少し、この子もオタクか?
と思った朔だったが、
とりあえず聞いてみた。
朔
「えっと…天使って言うのは?」
少女の答えは早かった。
千代
「え?
そのままの意味です。
わたしは天使なので。」
朔
(う~ん…重症患者か?)
さすがのザ・ニートの朔でも、
リアルでそんなことを言う奴は
あんまり信用ならなかった。
千代
「むぅーっ!
信用してませんねぇっ!
ならば、見ればいいです!」
あの柔らかい頬を
ぷぅーっと膨らませ、
少女はベットから降りると、
そのまま手をひらげて立った、
すると、背中から真っ白な翼が
綺麗にはえた。
その真っ白な翼は、
何か不思議な感じで、
その白さからの神々しさを
放っていた。
千代
「どうです?信じましたか?」
たしかにすごい。
ただ、朔の答えは簡単だった。
朔
「ごめん。俺、仏教派だから」
場の空気が凍り付いたのは、
言うまでもなかった。
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