梶原芽衣子、17歳。

5/9
前へ
/92ページ
次へ
「ねぇちゃん!おかわり!」 「ぼくも!」 規介が元気よく、カラのお茶碗を差し出し、実がそれを真似る。 「はいはい、ちょっと待ってな」 あたしはそれを受け取ると、ほかほかのごはんをよそう。 「ごちそうさま、いってくる」 亮二が慌ただしく米をかきこむと、家を出る。 「あ、行ってらっしゃい……って、もうこんな時間?!チビども、早く食べて準備しな!」 「太一兄ちゃん!かのを保育園まで送って!」 「えー、めんどくせぇ」 「いいから!遅刻しちゃうでしょ!」 …とにかく、梶原家の朝は慌ただしい。 家族みんなが無事に朝食を平らげ、家を出たのを見届けると、あたしはようやく一息ついた。 そのとき。 「芽衣子、ちょっと話があるから、飯くったら居間に来い」 黙ってお茶をすすっていたお父ちゃんが口を開いた。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加