梶原芽衣子、17歳。

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「ちょうど2年くらい前か。あそこの夫妻が、子供残して亡くなってなぁ」 「はぁ」 「神宮寺さんとこは、先代からずっとうちの家具を気に入ってくれていてな、父ちゃんがまだ見習いのころから、お世話になってたんだ。 それこそ、身の回りのことやら、金銭的援助やら、そういうとこまで世話になっててな。 今まではカヨさんっていうお手伝いさんが、住み込みで家のことやってたんだが、だいぶ歳だからさ。 引退するからって、代わりの人を探してるらしいんだが、なかなか見つからないんだと」 「それで、あたしに?」 「まぁ、そういうことだ」 んー、でも。 あたしは戸惑いながら言った。 「なんであたしなの?普通、家政婦の派遣所みたいのとかあるんじゃないの?」 未経験の小娘より、プロの方がいいと思うけどな。 「先方は、お前がいいんだと」 「はぁ、あたしが?」 そう言われると、断りづらいんだけど…。
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