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雨は時間が経つごとに
強さを増していく。
「信長様!」
何も喋らない信長に
声を張って名前を呼ぶ。
「ああっ!?少しボーっとしてな、悪かったな。どうだ?秀吉よ。調子の方は?」
「あっ、はい。万全でございます」
信長の反応に疑問を持ちながら、
さっと答える。
「そうか・・皆も元気か?」
「皆って・・四国の長宗我部元親の攻略に信孝殿達を、勝家殿達は、上杉征伐へと軍を送ったではないですか」
真剣な顔つきで話しを聞く信長。
「光秀は?」
真っ暗な空を見上げながら
小さな声で秀吉に問う。
「光秀殿は家康殿との接待役にと、先ほど行かせたじゃないですか。ほら、この間の武田征伐で家康殿が安土城に来てるのです」
淡々と答える秀吉。
「そうか・・・」
魔王と呼ばれた信長の顔は
闇につつまれ
少し悲しげに見えた・・
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