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蓮夜が犬(のお巡りさん)の後を追い掛けてたどり着いた場所は…………犬小屋。
「………お巡りさん、ここは一体何処でしょうか?」
蓮夜は犬小屋を見下ろしながら、静かに聞いてみる。
「わふん!」
犬が鳴くと、犬小屋から二匹の犬がのそりと出て来た。
土佐犬とシベリアンハスキー。
土佐犬の方は右目、ハスキーの方は左目に傷を負っている。
「何かもの凄く強そうだし…」
「おや、お客さんですかな?」
呆然としていると、奥から一人の初老が現れた。
「あぁっと………実は」
「あーはっはっはっ!」
説明すると初老は顎が外れるのではないかと思う程笑い出した。
「その犬っころはあながち間違っちゃおらん」
「は?」
蓮夜は首を傾げるしかない。
「いやはや。わしの愛犬の名前はの……」
土佐犬の名前は【ガリュー】。
ハスキーの名前は【コウヨウ】。
「…………ややこしい名前を付けんじゃねぇー!」
蓮夜は持っていた鞄を地面に叩きつける。
「しかも俺はコウヨウじゃなくて高校って言ったんだよ!」
蓮夜は案内して来た犬を揉みくちゃに触る。
「ハッハッ」
犬は嬉しそうに尻尾を振っている。
「まあまあ、落ち着きなさい。あながち間違っちゃおらんと言ったであろう?」
初老が蓮夜を宥めて、ニヤリと笑った。
「ようこそ、新入生。わしが我流高校の理事長じゃ。そして君が今いるこの敷地こそが我流高校じゃよ」
そう言って、初老―理事長が蓮夜の肩を軽く叩いたのであった。
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