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『一瞬だ。 一瞬だけ相手が怯む、その瞬間を見計って逃げるんだ。』
『嫌だよ!!! 隊長だけそんな...そんなのないよ!!!』
僕の必死な呼びかけにも隊長は決意を曲げなかった。
『言ったろ? もう死なれるのは懲り懲りなんだ。 墜ちるのはもう俺一人で十分だ。』
『だから...じゃあな..』
隊長は銃を右手で構え壁から飛び出した。
そして銃口を敵に向け発砲する。
敵がすかさず身を屈め、先ほどの僕等の様に弾丸を退けた。
すると隊長はピンッと少し高めの音を鳴らし手榴弾を戦車に向け投げつけた。
コンッという音から少し間が開き、爆音へと変わる。
『お前ら全員もう先には進ませねぇ!!!』
発砲を続ける隊長に敵は確実に怯んでいた。
『行けッ!!!』
隊長が僕に向かって叫ぶ。
だけど僕は動かなかった。
『早くしろッ!!! 早く行けぇ!!!』
相変わらず僕は動かなかった。
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