所有物争奪戦

2/3
前へ
/29ページ
次へ
あいつの隣にはいつも誰かがいた。それはフランスの弟分みたいなジョーンズだとか、その兄であるカークランドだとか、俺と共通の悪友であるアントーニョだとか、昔から啀み合っているはずのローデリヒの坊っちゃんとかだ。あいつの隣には色んな奴がいた。 「──で、いつになったら俺の意見に賛成してくれるんだい?フランシス!」 「お前がその三食ハンバーガーを止めたら考えてやるよ。」 「フランシスー、お前いつになったら俺と結婚してくれるん?」 「んー、俺んちが同性同士の結婚認めたらね。」 「よっしゃ、ちょお俺提案してくr」 「そうはさせませんよ、お馬鹿さん。」 「まったくだ、そんなの許すわけねーだろばかぁ」 「DDDDー、冗談が上手いんだなー、カリエドは!第一そんなの俺が認めないんだぞ!」 フランシスの周りの奴らが、アイツを囲んで楽しそうに話していたから、少しの間あいつの隣に居ることを許したが、結婚がどうの、とかの話で我慢の限界がきた。恋人と恋敵がそういう話をしていたら誰でも止めに入んだろ? 「おい、フランシス」 フランシスが俺に気付き、蜂蜜色の髪を揺らしながら俺の目の前までやってきた。フランシスを取られたことが気に食わないのか、一点から一斉に睨まれる。 「なんだよ、ギルベルト」 呼ばれたことに少し怪訝な顔をし、黙ったままの俺に対し、首を傾げるフランシス。 「いや、…その……」 呼んだのはいいが何て言えばいいんだ?「俺以外のヤツと喋るな」?いやいや、フランシスは束縛されんのが嫌いだ。かといって縛らねぇわけにはいかねぇし。「俺の隣にいろ」?…これだ!
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加