両隣の予約席

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「フランシスさーん!お誕生日おめでとうございまあす!」 「メルシー、マドモワゼル」 そう言ってキスを飛ばすときゃーっ、と女の子特有の高い声が廊下に響いた。女の子に騒がれて嬉しくない男は我らが生徒会長の眉毛ぐらいだろうな、と自然と持ち上がる頬を直さないまま俺は生徒会室へと向かった。 今日だけで(とゆうか今日以外言われることは余り無いのだけれど)数えることすら憶測に言われた言葉。そう、今日は俺の誕生日、なんですが。 「おー、フラン待ちくたびれたで」 「遅かったじゃねぇかフランシス」 [生徒会室]の札と[関係者以外立入禁止]の貼り紙の付いた扉をあけると、そこに居たのは銀髪に赤眼と茶髪に緑眼の馬鹿2人。まあ俺が呼んだんだけど。 「早う、飯食おうや。俺腹減ったわー」 「遅れてごめんねー」 「おう、気にすんな」 長めのソファーの真ん中を1人分空けて座っているギルベルトとアントーニョ。無性に2人が仲良く思えてきて少し哀しくなった。 そういえば2人にまだ『おめでとう』って言ってもらってないな…。って俺は乙女か。 自分自身にツッコミを心の中で入れながら、その向い側のソファーの真ん中に腰を降ろす。と、ギルベルトとアントーニョが俺を見てお互いに顔を見合わせ、また俺の方を見た。 「そんなとこ座んねーで、こっちに座れよ。フランシス」 「…へ?でも…」 「そうやで!ギルちゃんと隣同士で食べるなんてむさいわー」 「な、…アントーニョてめぇ!」 せやからこっちにきぃや、と横で文句を言うギルベルトをスルーして、2人の間の空いた所をぽんぽん、とアントーニョがたたいた。
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