いちごあめ

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「暑い…」 4限目の体育の授業が終わって昼休み。俺は1人で屋上にいた。さっきのサッカーで盛り上がり過ぎたせいか、まだ長袖の季節なのに制服を脱いでしまいたいぐらい暑い。 ぐてっと倒れコンクリートに身体をくっつけると、冷たくて気持ちいい。 「あーまじ暑…っ冷た…!」 「1人でなーにやってんのギルベルト」 いきなり頬にきた冷たい感覚に驚き、振り向くとそこにフランシスがいた。 にこっと笑い、手に持っていたスポーツドリンクを俺に差し出した。 「はい、サッカーお疲れさん。見てたよ」 「お、おぅ」 フランシスの笑顔に心臓が煩くなる。ていうか、こいつ俺の事見てたのか。嬉しさで自然に口元が緩んでしまう。 さんきゅ、と返してスポーツドリンクを素直に受け取った。 口に一口含み飲み込む。甘い。フランシスみたいだとか思った俺は馬鹿か。 「あ、あとこれあげる。疲れた時は甘いものがいいんだってよ」 そう言って差し出されたのは、袋にりんごのイラストが描かれた、りんご味のあめ玉。なんだよお前、りんご味とか可愛いなおい。 「あぁ、ありが」 「はい上げたー」 受け取ろうとした瞬間に、フランシスが腕を上に上げた。もちろん俺の手は空気を握る。 俺が暫く動かない間にフランシスは袋をさいて、飴を口に運ぶ。 フランシスを見ると悪ガキみたいにによによと笑っていた。
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