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《香蘭への電車は、少し遅れて
おります、ご了承下さいま
せ》
私の待つ香蘭行きの電車は、なんらかの事が原因で遅れているようだった。
私は、春日 栞(カスガ シオリ)。
現在は地元からここ、夕顔(ユウガオ)駅まで来て香蘭駅まで向かうために乗りつぎをしようと電車を待っているところだ。
だが、少し遅れているようだった。
今日は香蘭高校への入学式がある。
バッグの中を見て、推薦書と香蘭町にある、これから住む事になるマンションの鍵がある事を確認した。
「教科書は向こうでくれるらし
いし、制服はちゃんと着てる
し・・・
その他のいるものは、お母さ
んとお父さんが送ってくれて
るって言ってたし・・・」
独り言を呟きながら、荷物を確認していく。
先ほどまで周りに人がたくさんいたのに、乗りたい電車が来て乗って行ってしまったのか、人は少なくなっていた。
・・・朝、地元を出発するのが早かったから眠たいなぁ・・・。
辺りを見渡して、新鮮な風景に心を躍らせながらも、急に襲ってきた眠気に耐えられず大きなあくびをした。
ザワザワ、と小さな ざわめきさえ子守唄のように聴こえる。
・・・ダメだ。
寝ちゃう・・・
だめだめだめだめっ!!!!
立ったまま寝るとか、ありえないからー・・・
・・・ぐぅ
ダメだと言い聞かせながらも、深い眠りに落ちてしまった。
ひもの長いリュックが、私の前のめりな重心をかろうじて支えてくれていた。
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