*第3章*

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「大丈夫ですよ。  今日は怪我してません」 「ごめんね。エリカが。  昔は、あんなんじゃなかった  のに・・・」 目を伏せる常盤先輩。 長いまつげがすばらしい。 太陽の光で、まつげが白い頬に影を落とした。 「常盤先輩は、エリカ先輩と仲  が良かったんですか?」 美凪が興味ありげに聞いた。 確かに。 『昔は』というワードが気になる。 「・・・ええ。  幼稚園からの、幼なじみな  の。  よく、一緒に遊んでたわ」 幸せそうな微笑みを浮かべて、回想をしている風な常盤先輩。 こんな微笑みを、世界の人達は天使の微笑みと呼ぶのだろうか。 「だけど、瑞貴に出会って変わ  っちゃった。  瑞貴に惚れちゃって。  瑞貴に誰も近付かないように  して。  そして、私にも近づかなくな  った」 「・・・そうなんですか」 「・・・エリカは、元は悪い子じ  ゃないの。  だから、恨まないであげて  ね?」 さっきとは打って変わって、寂しそうな笑顔で、私達3人を見回しながら言った。 今、どんな気持ちなんだろう。 「それよりですねー、常盤先  輩!  先輩もしぃの事、止めてやっ   て下さいよ!!    岡本カナ先輩って人を助けて  から、ずっと風紀員を解散さ  せようと、制裁を止めに行っ  ちゃうんですよっ」 「そうねー・・・。  何をするか分からない輩だか  らね」 「そうだぞ、春日」 微妙に桜庭君も、私を責める。 「お?  何、みんなして集まってるん  だぁー??」 周りを囲まれて、3人に追いつめられていると、どこからか潤先輩の声が聞こえた。 美凪の背筋が、一気にピシっと真っ直ぐになる。 ・・・可愛いなぁ・・・。  
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