*第3章*

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「あら、潤に瑞貴」 常盤先輩が振り返って、2人を見た。 囲まれて閉ざされていた視界が開けて、2人の姿が見えた。 「あ!栞ちゃんが囲まれてる!  みんなして、いじめんなよ   ー!!」 無邪気な笑顔で、潤先輩が3人の肩を順にぽん、ぽん、ぽん、と叩いた。 美凪がその瞬間に、顔を背けた。 多分、顔が赤くなっているのだろう。 普段が強気な分、純情なところが可愛い! 「そういうことぉ・・・」 常盤先輩が、そんな美凪に気付いて、にやにやと悪戯な笑みを浮かべた。 「・・・大丈夫?」 グイ。 いきなり腕を引かれて、いきなり耳元で声がした。 華奢な胸板に、もたれる形になった。 背筋にビリっと電気が走ったような感覚に襲われた。 「みっ、瑞貴先輩!  いつの間に・・・」 「いじめられてた?」 「や、からかわれてただけで」 「可哀相に」 瑞貴先輩が私の頭を撫でた。 ふっ、風紀員の人!! 見てないよねっ??!! 「ひゅーっ。  生徒会長って、春日だけああ  だよなー」 茶化すように、桜庭君が甲高い音の口笛を吹いた。 少し、睨みを利かせようと思って、赤面しながらも桜庭君を見ると、近くにいた潤先輩も視界に映った。 なんだか、ひどく辛そうな顔をしていた。 ? さっきまで、無邪気な笑顔で笑ってたのに・・・。 潤先輩の意味深な表情を見て、桜庭君を睨むタイミングを逃してしまった。 「・・・複雑ねぇ」 1人、常盤先輩だけが、この状況の全てを理解している風だった。  
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