*第3章*

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「みっ、瑞貴先輩!   恥ずかしいですから!  いじめられてませんからっ。  離れてください」 「無理」 即答された。 間近にある端整な顔が、無表情なままに私を見つめる。 胸がドキドキと言って、うるさい。 「いっ、言いましたよね?!  私達!瑞貴先輩とは、5分以  上は絶対にいられないんで  す!」 「・・・風紀員か・・・」 瑞貴先輩が、珍しく表情を崩して髪をかきあげた。 瑞貴先輩のことだから、意識しての仕草じゃないだろうに。 すごい、男の色気を感じるんですけど・・・。 「現在、4分30秒」 時計のように無機質な声で、潤先輩は言った。 「しぃ、いっ、行こっ?」 美凪が顔を俯かせながら、私の腕を引いた。 それと同時に、私の腕をつかんでいた瑞貴先輩の腕の力は弱まって、私を解放してくれた。 ・・・私、きつく言いすぎたかなぁ・・・。 少し首を傾げて私を見る瑞貴先輩を見ると、妙に胸が締め付けられた。 * 「瑞貴のばーか」 「本当よ。  風紀員の動きを止めれば、栞  ちゃんとずっといられるの  に」 「・・・」 「・・・」 瑞貴と潤が黙る。 「あ。  潤は瑞貴と栞ちゃんがペアで  いられると困るか」 「うっせ」 少し顔を赤らめる潤。 おもしろそうに、常盤は笑った。 瑞貴は、少し不機嫌になった。 「・・・俺に、頼んできたら。  止めさせる。すぐにでも」 「頼まれたら、って。  栞ちゃんに?」 黙って瑞貴は頷いた。 「瑞貴は栞ちゃんを中心に回っ  てるものねぇー」 常盤が満面の笑みで空を仰いだ。 「栞ちゃんに頼られたいん  だ?」 意地悪に常盤が聞くと、瑞貴はまた頷いた。 潤は終始、黙っていた。 *      
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