*第3章*

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入学式のあった日から、もう何ヶ月もの月日が経った。 いまさらだけど、生徒会の人達とは、かなり仲良くなれてて。 今でも、瑞貴先輩のそばには5分以上いられる勇気は無いけど。 それでも、一緒にいることは確実に多くなった。 「うわぁっ。  外、あっつそー」 綾部先生が熱心に話している中、美凪が小声で私に囁いた。 家庭科室は、冷房がかけられていて、調理をするため上での適温になっているため、暑さは感じないが。 窓の外を見ると、景色が揺れて見えた。 「暑そうだね」 「だけど、美凪は夏が似合う  よ」 「やっぱり?  あたし、季節の中で夏が1番  好き!!」 桜庭君の言葉で、美凪が笑顔を見せた。 この笑顔の系統は、なんだか潤先輩に似ている。 爽やかな、感じ。 「だけど、梅雨入りしたら微妙  なんだなぁー。  じめじめして、嫌だもん」 「・・・梅雨・・・」 そうか。 もうすぐ、雨の季節だ。 「どうかした?春日?」 「え?  ううん!何も!」 「しぃは、よくボーっとしてる  もんね」 「えー?」 美凪に馬鹿にされて、眉間にしわを寄せて見せた。 今、誰の顔が浮かんだ? ひなた? 「ほら、また意識がどっか行っ  てる」 脳裏に浮かんだひなたの顔が、一瞬かすんだ。 ぼやー、っとして。 あの、柔らかい表情が見えずらい。 「しぃっ!」 「あ・・・?」 結構な大きい声で呼ばれて、私の意識は呼び戻された。  
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