*第3章*

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「今日は、デコレーションの技  術を学びます。  まずは、各自で挑戦をしてみ  てください」 綾部先生がそういうと、生徒達は一斉に立ち上がって、キッチンへと向かった。 全く話を聞いていなかった私達も、とりあえずキッチンへと行った。 「あら。可愛らしいデコレーシ  ョンね。  さすがに、春日さんのセンス  はピカイチね」 元々用意されていたケーキに、生クリームを絞り出していると、その様子を綾部先生が覗き込んで褒めてくれた。 すごく、嬉しかった。 だけど、やっぱりさっきからひなたの顔が、頭から離れなくて。 「あ」 「あら。失敗かしら?  心に、何か迷いでもあったの  かしらね」 綾部先生は、クスっと笑うと、他の生徒の所へ行ってしまった。 本当、心の中がぐちゃぐちゃだ。 私は生クリームの入った袋を置いて、手に付いたクリームを舐めた。 カラーン・・・   コローン・・・ そして授業が全て終了し、日課と化した生徒会メンバーのお見送りをした。 瑞貴先輩、潤先輩、常盤先輩は、やっぱり私達を見つけると、黙って微笑んでくれた。 これも、何ヶ月もの月日を重ねて日常化した。  
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