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そして、生徒会のみんなが校門を出ると、私達も帰る。
「じゃあー、ばいばい!しぃ」
「じゃあなぁー、春日」
「うん。
ばいばい、美凪、桜庭君」
2人並んで手を振る2人に、私は手を振った。
*
「なぁ、美凪?」
「なぁに?」
「なんで、結城先輩が好きなん
だ?」
「・・・あたしの勝手でしょっ」
顔を赤らめる美凪。
恋をする乙女の表情に、千尋は胸を高鳴らせかけるが、それ以上に胸が締め付けられて痛かった。
「顔?性格?
どこがいいんだ?」
「どこ、っていうか。
そういうんじゃなくって。
よく分からないけど、・・・。
・・・す・・・きなのっ!!!!
もう、いいでしょ??
そっとしといて、この話は」
「・・・嫌だ」
いつも美凪に言いなりの千尋が、珍しく反発したので、美凪は少々驚いた。
隣を歩く千尋を見上げると、千尋は何とも言えないような、複雑な顔をして、真っ直ぐ前を向いて歩いていた。
「・・・なんで嫌なのよ?」
そんな千尋に、美凪は調子が狂う。
いつものヘタレな千尋なら、そうはならないのに。
「美凪が結城先輩のどこが好き
なのか教えてくれれば、俺は
頑張って美凪の理想になる
よ。
だから、俺を無視しないで」
「?
どういう意味?」
「・・・結城先輩じゃなくて、俺
じゃあ、ダメか?」
いきなり横を向いて、千尋は美凪を見つめた。
美凪は、改めて千尋が男なんだと確信をした。
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