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早く。
早く。
早く帰れば、帰るほど。
ひなたと長くいられる。
頭の中で、そんな言葉がリピートする。
すっかり見慣れた、立派なラベンダーハウスに足を踏み入れ、いつものようにフロントのお姉さんが「おかえりなさいませ」と挨拶をしてくれる。
それに軽く会釈をして、私は急いで自分の部屋へと急いだ。
1分、一秒が惜しい。
だって、ひなたは日暮れがくると、きっかり帰ってしまうのだから。
チン。
エレベーターが私の部屋のある階で止まり、扉が開くと同時に私は飛び出した。
そして、自分の部屋のドアの前に着き、いったん立ち止まった。
深く息を吸い込んで、はきだした。
・・・よぉーし。
頭の中で意気込んでから、バッグの中の鍵を探した。
・・・が。
「・・・な、無い・・・?」
嘘でしょー?
もしかして、落とした?
いやいやいやっ。
それは無いっ。
こんな高級マンションにみすみす侵入される手を作るまいと、バッグの内ポケットに入れてるんだもん。・・・いつもなら。
・・・だとしたら、私。
オーッとロックの罠に、引っかかった?
「馬鹿だぁ・・・」
鍵を中に置いたまま、登校してしまったんだ。
そして、閉め出された。
なんて、無様な。
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