*第3章*

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フロントのお姉さんに、「開けて下さい」って、言う? でも、「見た目通りの馬鹿だ」みたいに思われたくないしー・・・; どうしよう。 このままじゃ、ひなたが。 ・・・ひなた? 「!」 中には、ひなたがいるんだ! インターホンを押せば、ひなたが開けてくれるかもっ! だけど。 恥ずいなぁ。 少しインターホンを押すのをためらったが、押さなくては仕方がないので、しぶしぶ押した。 ピーンポーン・・・。 中でインターホンが鳴ったのが聞こえた。 ひなた、寝ちゃってるかなぁ。 「・・・クスクス。  ・・・誰ですか?」 立ったまま、いろんな事を考えていると、ドアの内側からひなたの声が聞こえた。 しかも、笑ってる。 ・・・絶対、私の事を馬鹿にしてる! 覗き穴から、見てるんだっ!! 「ひなた!開けて下さい!  鍵、忘れていってしまったん  です」 ・・・ ・・・ガチャ。 なぜか少し間があいてから、ドアがゆっくりと開いた。 「・・・おかえり、しぃ」 そこには、いつもの柔らかい、心地いい笑みを浮かべるひなたがいた。 落ち着くなぁ、やっぱり。 この笑顔を見ると。 ひなたの笑顔を見て、口元が緩んでしまう。 玄関に入って、背後でドアがしまり鍵も自動で閉まった。 「・・・ドジだね」 「今朝は急いでたんですよ」 「・・・おもしろいね」 ふわふわと、軽い足取りでリビングへと向かう。 もう夏も近く、かなり気温が高いというのに、リビングはクーラーがかけられていなかった。    
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