*第3章*

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  「ひなた、暑くなかったんです  か?  気を遣ってなら、気にしな  くていいんですけど・・・」 「・・・ううん。  俺は、極度の寒がりだから」 「?そうなんですか」 「・・・うん、夏の暑さは感じな  い」 そう言って、ひなたは指定席のようになった、いつもの場所の床に腰を下ろした。 私も、その横に腰を下ろす。 だけど、この暑さじゃ、日向ぼっこなんか気持ちよくないよ; 手で顔を仰いでいると、不意にひなたがこちらを見つめてきた。 茶色い眼鏡の奥の、薄茶色な瞳が私をじっと見る。 ギュウー 「?!   何してるんですか?!」 いきなり、ひなたが手を握ってきた。 驚きで、変な汗がいたるところから出る。 「・・・冷たいでしょ。  俺の手。気持ちいい?」 「・・・あ、はい。  氷みたい、ですね」 言われてみれば、本当にひなたの手は凍っているかのように冷たかった。 「・・・しぃの手、ぬくい」 「あ!ごめんなさ」 ピト。 手からも汗が滲んできたのが分かったから、慌てて手を離そうとしたけど。 ひなたは気にしていないらしく、もう片方の手の甲を私の頬に押し当てた。 「ひぃぁっ?!」 「・・・気持ちいいでしょ」 手を掴んでいた方の手も、頬に触れて。 顔を挟まれた。 ぶに。 「むぅー・・・」 「・・・可愛いね」 「・・・///!!!!!!!!!!」 顔を両手に挟まれたまま、顔を赤面させた。 うわっ! 恥ずかしすぎるーっっ。 ひたすら遊んでおいて、満足したのか、ひなたは手を離した。 そして、私は慌てて自分の両手で頬を包みこんだ。 ひなたの手は冷たかったはずなのに、熱を帯びてる。 「///」 なんだか、ひなたの隣に居づらくなって私は立ち上がった。 そんな私を、ひなたが不思議そうに見上げる。 ・・・瑞貴先輩が、家にいるみたいだ、と、改めて感じてしまう。 「私、何か作りますね!  短時間ですからっ、ちょっと  手抜きかもですけど。  甘い物、平気ですか?」 「・・・うん、好き」 『好き』という単語に、照れてしまって。 私は顔を背けた。  
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