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「ひなた、暑くなかったんです
か?
気を遣ってなら、気にしな
くていいんですけど・・・」
「・・・ううん。
俺は、極度の寒がりだから」
「?そうなんですか」
「・・・うん、夏の暑さは感じな
い」
そう言って、ひなたは指定席のようになった、いつもの場所の床に腰を下ろした。
私も、その横に腰を下ろす。
だけど、この暑さじゃ、日向ぼっこなんか気持ちよくないよ;
手で顔を仰いでいると、不意にひなたがこちらを見つめてきた。
茶色い眼鏡の奥の、薄茶色な瞳が私をじっと見る。
ギュウー
「?!
何してるんですか?!」
いきなり、ひなたが手を握ってきた。
驚きで、変な汗がいたるところから出る。
「・・・冷たいでしょ。
俺の手。気持ちいい?」
「・・・あ、はい。
氷みたい、ですね」
言われてみれば、本当にひなたの手は凍っているかのように冷たかった。
「・・・しぃの手、ぬくい」
「あ!ごめんなさ」
ピト。
手からも汗が滲んできたのが分かったから、慌てて手を離そうとしたけど。
ひなたは気にしていないらしく、もう片方の手の甲を私の頬に押し当てた。
「ひぃぁっ?!」
「・・・気持ちいいでしょ」
手を掴んでいた方の手も、頬に触れて。
顔を挟まれた。
ぶに。
「むぅー・・・」
「・・・可愛いね」
「・・・///!!!!!!!!!!」
顔を両手に挟まれたまま、顔を赤面させた。
うわっ!
恥ずかしすぎるーっっ。
ひたすら遊んでおいて、満足したのか、ひなたは手を離した。
そして、私は慌てて自分の両手で頬を包みこんだ。
ひなたの手は冷たかったはずなのに、熱を帯びてる。
「///」
なんだか、ひなたの隣に居づらくなって私は立ち上がった。
そんな私を、ひなたが不思議そうに見上げる。
・・・瑞貴先輩が、家にいるみたいだ、と、改めて感じてしまう。
「私、何か作りますね!
短時間ですからっ、ちょっと
手抜きかもですけど。
甘い物、平気ですか?」
「・・・うん、好き」
『好き』という単語に、照れてしまって。
私は顔を背けた。
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