*第3章*

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疑ってる、んだけどー。 「また、やってしまった」 ひなたが帰る時になると、なんだかボーっとしてしまって。 どうしても、ひなたが帰る姿を見逃してしまう。 「ま、いっか」 誰もいない通路を見て、少し微笑んでから、ドアを閉めようとした が。 ガチャ。 「え?」 「あ、栞ちゃん」 隣の部屋のドアが開いて、潤先輩が出てきた。 Tシャツにジーンズという、ラフな格好。 や、やっぱり。 手足が長いーーー。 「な、何?」 「えっ!いや!!!!」 潤先輩が、苦笑いしながら私を見る。 そんなに、見てたかな?! 「あははっ。  遠慮しないで、見たいなら、  ずっと見つめててよ」 「へ・・・、あわわっ!!!!  そんな恥ずかしいこと、っ  て。  か、からかわないでください  っっ!!!!」 「ぶはっぁー!!  おもしろいなぁー、栞ちゃん   って」 本気で大笑いする潤先輩。 思わず、顔が赤面してしまう。 「ひぇええぇ・・・」 ガチャ。 「何やってるの」 いきなり、背後のドアが開いて、瑞貴先輩が登場した。 何? この展開は? 「あ、瑞貴じゃん。  何にもやってないよ」 「嘘」 「あ、嘘じゃないんです。  私が馬鹿なことをやらかしち  ゃったから・・・その」 目が泳いだ。 だって、たかがこんな事なのに、瑞貴先輩の瞳が真っ直ぐすぎる。 「目が泳いでる」 「わぁっ!」 ひなたにはバレなかったのに! 「顔、赤い」 「いやいやいや。  瑞貴。お前が考えてるみたい  な事は無いからな?」 どうしたらいいのーーーー。 「瑞貴先輩!  本当、何も無いんで。  ご、5分、経ちそうですし!  私、失礼しますね」 そそくさと、私は玄関のドアを閉めて中へと身を隠した。 てか。 ていうか。 びっくりしたぁー。 いきなり瑞貴先輩が出てくるんだもん。 いや。 もちろん、潤先輩が出てきたのにも驚いたけどもね。 ひなたのいなくなったリビングに戻って、外を見た。 ポ・・・   ポツ・・・ 「雨・・・」 外を見た時、ちょうど雨が降り始めた。 私って、雨女? 雨はどんどん強くなっていった。 「梅雨、かぁ・・・」 明日も、雨が降るんだろうか。  
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