*第3章*

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次の日。 登校する前にカーテンを閉めようと窓に近付くと、空は雲に覆われていて、今にも雨が降り出しそうな勢いだった。 だから、玄関を出る時にカサを掴んで出た。 「・・・皆さん、夏休みにある大  会の課題は、自作スイーツを   作る事です。  なので、各自、家で考えてく  るように。  今日の授業はここまでです」 綾部先生が教科書を閉じると、生徒もみんな教科書を閉じた。 ふと窓の外を見ると、雨が降っていた。 ・・・雨は嫌いなんだよねぇ。 髪の毛の調子がわるくなっちゃうし。 なんか、むあむあするし。 だけど。 「しぃー、帰ろう・・・って。  また、そんな顔してるし」 美凪が帰り支度を済ませて、私に寄ってきた。 が、すごく顔を引きつらせて、後ずさった。 「えっ?  私、酷い顔してる??」 「・・・やー。  酷いというか、幸せオーラが  半端なく出てるというか。  なんか、気持ち悪い?」 「嘘っ。  そんな気持ち悪い顔して   た!?」 「今日だけじゃないよ。  放課した後は、最近ずっとこ  うだったよ」 「そーだったぞ、春日」 同じく、帰り支度を済ませた桜庭君も美凪に便乗した。 最悪・・・。 気持ち悪い顔、してたんだ。 最近。 「何か、いい事があるのかな?  うん?」 美凪が悪戯に微笑みながら、私の顔を覗きこむ。 「・・・まぁねー?」 なんて、少し威張って言い返してみると、美凪まで嬉しそうに笑った。 ひまわりみたいな、輝かしくて、温かい笑顔。 視線を少しずらして桜庭君を見ると、やっぱり、そんな美凪をみて、2個目のひまわり。 「あ!またオーラが出てる!  しぃ」 「ふふふっ!」 笑顔って、いいなぁー。  
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