*第3章*

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なんだかんだ、楽しく話しをしながら、生徒会メンバーのお見送りを済ませて、美凪と桜庭君と私の3人で、校門へと歩いた。 特に意味はないけれど、ふと後ろを振り返って校舎を眺めた。 やっぱり、何度見ても大きいなぁ、なんて、ぼんやり考えていると、少しだけ見える中庭で、またもや多数の風紀員が誰かを囲んでいるのが見えた。 「何かあるの?しぃ?」 「・・・あー・・・。  課題のプリントを、教室に忘  れてきたみたい。    美凪と桜庭君は、電車の時間  があるから、気にしないで、  先に帰っててー」 「そっか。  あのプリント、明日が提出期  限だもんね。  ドンマイ」 「ドンマーイ、春日」 「あはは。ばいばい」 嘘をつくと、目が合わせられない癖をごまかすために、終始笑顔で通したら、2人には見抜かれずに済んだ。 小さく手を振ると、2人も振り返してくれる。 ・・・私が出来ることは、なるべくしたいよ。 私が勇気を出して止めれば、止まるものなら。 無いような勇気も振り絞って、頑張るよ。 急ぎ足で中庭へと向かった。 早くしないと、殴られて手遅れになってしまうかもしれない。 『偽善者』 「・・・」 ふと、風紀員のリーダーのエリカに言われた言葉が蘇った。 足が、一瞬止まりそうになった。 「・・・間違ってなんか、ない」 自分に言い聞かせるように呟いて、また早足に歩いた。 間違ってなんかないよ。 どんな理由でも、暴力をするほうが絶対に間違ってる。 ・・・それに、なんと言われたって構わない。 私が正しいと思う事をして、救われる人が、必ずいるんだから。 「や!やめてくださーい!!!!」 中庭に足を踏み入れて、いつものように叫んだ。 毎度のように、私が止めに来るものだから、風紀員の人は、私の声を聞くと、殴ろうとする手を止めて、躊躇する。  
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