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「ダメですよ!
生徒会長の瑞貴先輩が、体調
を私のせいで崩したとなった
ら、大事になっちゃいますか
ら!
それに」
言いかけて、はっとした。
私、今。
何を言おうとした?
「また、エリカさんに殴られるかもしれないから」なんて、言おうとしてないよね?私。
「・・・俺は、そっちが体調崩さ
ないかが心配・・・」
瑞貴先輩がさらに距離を縮めた。
傘に入りきっていなかった肩先まで、気をかけてくれたようだ。
・・・だからかは分からないけど、私が言葉に詰まったのには、気は回らなかったようで、何も言ってこなかった。
「・・・ねぇ」
「はい」
雨に濡れて、いつも以上に色気をまとう瑞貴先輩が、さらに艶っぽさを増させるような笑顔をして話しかけてきた。
全身が、びりびりとする。
「・・・はるひ」
「・・・はるひ?
誰ですか?それは」
何だぁー?
話の展開の仕方が、ちょっとひなたのパターンとかぶってる?
「これから、はるひって呼ぶ」
「私の事をですかっ?
・・・あのー、分かってるとは
思うんですけども・・・。
春に日と書いて、『かすが』
って、読むんです」
「・・・知ってるよ」
瑞貴先輩は、おかしそうに笑った。
普段見せない、無邪気な笑顔が、すごく格好いい・・・。
「みんなと、同じ呼び方で呼び
たくない。
特別がいい」
「///!」
「赤」
『特別』って言葉こそ、特別っぽい。
ん?
意味分かんない・・・?
・・・。
しかも、赤面しちゃったからって、「赤」って!
「からかわないでくださいー」
思い切りからかわれてるしっ!
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