*第3章*

23/25
1250人が本棚に入れています
本棚に追加
/542ページ
「ダメですよ!  生徒会長の瑞貴先輩が、体調  を私のせいで崩したとなった  ら、大事になっちゃいますか  ら!  それに」 言いかけて、はっとした。 私、今。 何を言おうとした? 「また、エリカさんに殴られるかもしれないから」なんて、言おうとしてないよね?私。 「・・・俺は、そっちが体調崩さ  ないかが心配・・・」 瑞貴先輩がさらに距離を縮めた。 傘に入りきっていなかった肩先まで、気をかけてくれたようだ。 ・・・だからかは分からないけど、私が言葉に詰まったのには、気は回らなかったようで、何も言ってこなかった。 「・・・ねぇ」 「はい」 雨に濡れて、いつも以上に色気をまとう瑞貴先輩が、さらに艶っぽさを増させるような笑顔をして話しかけてきた。 全身が、びりびりとする。 「・・・はるひ」 「・・・はるひ?  誰ですか?それは」 何だぁー? 話の展開の仕方が、ちょっとひなたのパターンとかぶってる? 「これから、はるひって呼ぶ」 「私の事をですかっ?  ・・・あのー、分かってるとは  思うんですけども・・・。  春に日と書いて、『かすが』  って、読むんです」 「・・・知ってるよ」 瑞貴先輩は、おかしそうに笑った。 普段見せない、無邪気な笑顔が、すごく格好いい・・・。 「みんなと、同じ呼び方で呼び  たくない。  特別がいい」 「///!」 「赤」 『特別』って言葉こそ、特別っぽい。 ん? 意味分かんない・・・? ・・・。 しかも、赤面しちゃったからって、「赤」って! 「からかわないでくださいー」 思い切りからかわれてるしっ!  
/542ページ

最初のコメントを投稿しよう!