*第3章*

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「もぅっ!  瑞貴先輩ってば!  もう、5分経ちます!  帰りますね、私」 相変わらず、私の上に差されたままの傘をつきかえした。 その瞬間、腕を掴まれて引き寄せられた。 グイッ。 「ひぁっ・・・?!」 瑞貴先輩の胸に頭をぶつけてしまった。 かなりの衝撃が、瑞貴先輩にいっちゃったような気がする。 「・・・無理、しないで。  俺に出来ることあれば、頼っ  て?」 くっつきすぎな距離を、少し離そうと、後ずさるけど、そんな事は関係なしに長い瑞貴先輩の手が私の頭を撫でた。 ものすごい、優しい手つきで。 「・・・本当、無理はしてないで  す。  そう見えてたなら、すみませ  ん。  ・・・では」 やんわりと自然な風に、瑞貴先輩から離れた。 振り返れなかった。 恥ずかしい。 一瞬とは言っても、抱き締めっ・・・/// うあー・・・。 頭が、いっぱいいっぱいだ。 荷物を拾い集めて、傘も差さずに家路についた。 瑞貴先輩って、無口で、無表情なことが多くって、何も考えてないように見えるって、みんなは言うけど。 私は、そうじゃない気がするなぁー。 だって、初めて会った時も、電車で寝てた私を起こしてくれたし。 笑顔もよく見るし。 さっきだって、私なんかの心配までしてくれたし。 その時、いっぱい、喋ってたもの。 そして、最後にはなぐさめに頭まで撫でてくれたし・・・。 カァァァァァ・・・ 思い出すと、また体温が上がっていくのを感じた。 当たり前かな。 あんなに格好いい人に、あんな事されたらね。 って事は、私も。 瑞貴先輩を追い回しているような女の子達と、変わらない心なのかなぁ。  
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