*第4章*

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「しぃ」 「春日?」 「・・・」 「しぃっ????!!!!」 「春日っ????!!!!」 「・・・え?」 美凪と桜庭君に名前を呼ばれて、窓の外を見ていた視線を2人に向けた。 2人の表情には、怒りと心配に色が浮かんでいた。 「『え?』じゃないでしょ?  何回呼んだと思ってるの?!」 「・・・ごめんなさい」 「春日、何考えてたんだ?」 桜庭君がかがんで、私の机に腕をもたれさせて、その腕に顔を埋めさせながら尋ねてきた。 「ちょっと、千尋!  あんた、直球すぎ・・・」 「・・・考えてる、というか。  今日も雨だなぁー、って思っ  てて」 「?  春日って、雨、そんなに嫌い  だったか?」 「普通だったよねぇ?」 美凪と桜庭君が顔を見合わせて、一緒に首を傾げた。 確かに、今まで雨に関しては、別にどうでも良かった。 だけど、今は違う。 雨が降ると、ひなたに会えないのだから。 「・・・最近、雨ばっかだよね」 私が呟くと、2人はさらに首を傾げた。 「しょうがないじゃん。  だって、梅雨なんだもん」 「だもん」 美凪が答えて、桜庭君もおどけたようについて答えた。 「梅雨って、いつ開けるの?」 「さぁー。  千尋は知ってる?」 「うーん。  8月とか、9月辺りじゃない  ?」 「・・・遠いなぁー」 桜庭君の答えを聞いて、私は机に顔を伏せた。 ストレス溜まって、爆発しちゃうよぉー。私ー。 「・・・ねぇ。しぃ。  トイレ行こう?  トイレに行きたくなっちゃっ  た」 明らかに嘘な感じで、急に美凪がそう提案した。 こういう場合、きっと私、美凪に尋問されるんだ・・・。 嫌ってほど;; 「・・・いいよ」 「俺は別に行きたくないから、  教室で待ってるわ」 「オッケー」 さすが桜庭君。 美凪が何を考えてるのか。 全てを悟っている様子だ。  
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