*第4章*

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「あ、あたしもさぁ!  潤先輩が初恋・・・だけどさ?!  だけど、しぃみたいな容姿の  持ち主なら、中学の時とかも  少なからず、告白とかされて  たんじゃないの?!」 美凪が顔を赤くしながら言う。 多分、発言の中に『潤先輩』のワードがあったからだ。 きっと。 「えぇっ?!  私の容姿なんて、平凡だよ!!  それに、告白なんかされた事  無いよ!!」 「しぃの事だから、告白って気  付かなかったんじゃないの  ー」 「しっ!失礼極まりない!!」 「またまたぁー。   そんな使い慣れてない言葉を  使っちゃって。  言われた事あるんじゃないの  ぉ?  『ずっと前から、好きでし  た』みたいな発言。  もちろん、男子からね」 美凪が腕を組んで、私に寄って来る。 得意気な顔をして言うけど、やっぱり恋愛ビギナーの美凪だから、恋愛に詳しい人を演じきれてない。 そこがまた、可愛いんだけど。 ・・・というか。 「あぁ!  それなら言われた事あるよ!  いつも『ありがとう』って、  答えてたけど・・・」 「・・・はっ????!!!!」 美凪が、ただでさえ大きな目をさらに大きくして、私を見つめた。 こげ茶色の瞳が、「信じられない」とでも言うように、私に何かを訴える。 ボソ 「本当に告白に気付いてなかっ  たんだ・・・」 「?  美凪、何て言ったの?今」 「いーわない。  さ、行くよ。  休み時間が終わっちゃう。  しぃの元気無い理由も分かっ  たし」 聞こえなかった美凪の発言が気になりながらも、「うん」と答えて、美凪の後に付き、トイレを出た。 教室に戻ると、美凪が帰るのを待ちわびていた様子の桜庭君が美凪に向かって手を広げて突進してきた。 そして、 バキャ。 「はうっ!!」 「触んないで、変態」 桜庭君のお約束。  
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