*第4章*

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エレベーターを待っていると、着いたエレベーターから、桜庭君が出てきた。 息を切らしていた。 よっぽど、美凪に早く会いたいんだろう。 「美凪、家庭科室で1人でいる  よ。  今なら、2人きりだね」 小さく小声で言えば、顔を真っ赤にして、桜庭君は大きく咳払いをした。 「・・・プレッシャーをかける  な、春日。  それから・・・」 「それから・・・?」 「帰ってくるのは、ゆっくりで  いいぞ」 にかっと眩しいほどの笑顔で、桜庭君は言った。 ・・・遠まわしに『邪魔』ってことですね。 「分かった。  ・・・頑張ってね」 「春日っ!  いい奴!!!!」 桜庭君は私の頭をぐしゃっとしてから、美凪のいる家庭科室へダッシュした。 速かった。 「・・・一途だなぁ」 それぞれの恋が、それぞれに動いていく。 エレベーターに乗って、教室のある階へと向かった。 そして、家庭科クラスは校舎とは別の所にあるため、渡り廊下を歩いた。 渡り廊下を歩きながら、外の景色を眺めると、中庭で音楽を聴きながら、ベンチに座っている男子生徒の後姿が見えた。 あ・・・。 無意識にその後姿を見つめていると、強い風が吹いたのか、男子生徒の色素の薄い髪の毛を風が大きく揺らした。 何を思ったのか、その男子生徒は上を見上げた。 そして、ばっちりと私と目が合った。 やっぱり。 振り返ったその人物は、他の誰でもない瑞貴先輩だった。 私を見つけて、イヤホンを片方外して、優しく微笑んだ。 理由は分からないけど、胸がぎゅっとなった。  
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