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さっきまでカナ先輩が座っていた場所に腰をかけた。
そして、何を話すでもなく小さな沈黙が数秒続いた。
・・・き・・・
気まずい・・・。
「あのっ、瑞貴先輩」
イヤホンをしているから、聞こえにくいかなぁと思って、ちょっとだけ声を張り上げて呼んだ。
でも、意外と普通の声でも声は届くようで、驚いたような仕草を見せて、イヤホンを片方外した。
「・・・先輩は、何の音楽をいつ
も聴いているんですか?」
話しかけておいて、話題を考えていなかった事に気付いたが、とっさに出た質問がそれだった。
「知らない。聴く?」
曲名もアーティストの名前も知らないのか、外した片方のイヤホンを私の耳にはめた。
「あ。Freedomの歌・・・」
「Freedomっていうの」
私も、そんなに歌に関心は無いけど、最近人気が出てきているこのアーティストは知っていた。
「あはは。
これ、Freedomのチェックメ
イトっていう歌ですよ」
笑顔で隣にいる瑞貴先輩の方を見ると、意外と近い距離に驚いた。
そうだ、同じイヤホンで聴いてるから・・・。
そう考えると、急に恥ずかしくなってきた。
「―――っ!!!!///」
体がビクっとなって、大きく揺れた。
ブチッ。
「いた」
私が揺れたため、瑞貴先輩の耳からイヤホンが強引に抜けた。
今、「いた」って言った・・・。
「す、すみません!」
「どうかした?
気分悪い?」
ベンチの端に、急に身を縮めた私を不審に思ったのか、瑞貴先輩が近付こうと距離を縮めてくる。
やばいっ!
心臓が、壊れそう。
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