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「気分、悪くないです。
だ、だだだ・・・大丈夫ですか
ら・・・!
ちょっと距離を・・・」
「でも、汗かいてる」
「これは冷や汗です」とは、恥ずかしすぎて口が裂けても言えるはずは無く。
ただただ、純粋に私を心配する瑞貴先輩に戸惑った。
「熱、ある?」
心配そうな面持ちで、片手を私の額に寄せてきた。
その行動に気付いて、またビクっと体が反応して揺れた。
今、触れられたら。
私。
死んじゃうかもしれない。
身の危険を感じて、本能のままに、さらに後ろへ後ずさった。
・・・が。
もうすでに、ベンチの端にいた私は、後ずさった事で重心がベンチの外へいってしまい、落ちそうになった。
「きゃ・・・あっ!!!!」
「!」
後ろに倒れこむ私の手首を掴んで瑞貴先輩は助けようとしてくれたけど。
馬鹿な事に、私がまだイヤホンをつけたままだったため、ウォークマンの本体をポケットに入れていた瑞貴先輩も引っ張られて、一緒になって地面に落ちてしまった。
ド!!!!
「――――――っ!!!!」
痛すぎて、声にもならない。
こういう時って、「ドサ」っとか。
もうちょっと、柔らかい音がするもんじゃないんですか・・・;
頭も強く打ったみたいで、目の前がくらくらする。
「平気?」
上から、瑞貴先輩の声が降ってくる。
・・・え。
えぇっ?
しだいに、頭のくらくらが無くなると、視界がはっきりしてきた。
すると、空が映るはずの私の視界は、瑞貴先輩の顔のアップがあった。
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