*第4章*

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「・・・」 「・・・」 瑞貴先輩はどうだか知らないけど、私は予想外の体勢に、頭がショートしてしまって真っ白になった。 「・・・脳しんとう、起こして  る?」 何も喋らない私を、脳しんとうと判断したのか、顔を近づけてくる瑞貴先輩。 「だっ!!!!  大丈夫ですからっ!!!!」 少しは自分の顔が凶器になる事を理解してほしい。 ほら、私の心臓なんか。 もうすぐ、破裂して消滅してしまいそうだ。 「・・・良かった」 「・・・」 私に覆いかぶさったまま、安堵したように笑う瑞貴先輩。 下から見上げたその顔は、やっぱり綺麗としか言いようはなくって。 私は黙って、その顔を見上げていた。 静かに、だけど速く。 心臓が音を奏でる。 ポツ・・・   ポツ・・・ 頬に雨があたった。 「・・・雨・・・」 心臓の高鳴りは、雨によって一瞬で消し去られた。 体をさっと起こして立ち上がり、真っ黒な空を見上げた。 さっきまで、雲の切れ間から太陽が覗いてて、今日はひなたに会えるかもって、期待してたのに。 「雨、嫌い?」 「・・・嫌いです」 瑞貴先輩の問いに、私は即答した。 雨のせいで、ひなたに会えないんだから。 雨なんか、大嫌い。 「どうして?」 「・・・・・・・・・・・・太陽の妖精に、  会えないからです」 どうしてかと聞かれると、答えにくいけど。 意味深な言葉で返した。 「クス・・・。  ・・・そう・・・」 変な奴、と思われるかと思ったら、瑞貴先輩は意外にも笑顔で返してくれた。  
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