*第4章*

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「し、おりちゃん?」 「・・・」 何だ、この反応の違いは。 「・・・栞ちゃんも、いい子だと  思う、よ」 明らかに、変だ。 なんだか急に焦ったように笑い出してるし。 もしかして。 まさかだけど。 「・・・結城先輩、もしかして。  春日が・・・」 「馬鹿言うなっ!  先輩をからかうのは、いけな  い事だ!!」 茶化すように、肩をぽんぽんと叩く。 絶対そうだ。 結城先輩は、春日の事が好きだ。 「まぁーったく。  先輩に探りなんか入れちゃっ  て」 「あ、すみません」 まさか、本当に春日を・・・とは思いもしなかったし。 「じゃあ、俺行くわ」 「はい」 照れ笑いを浮かべながら、潤は千尋の横を通り過ぎた。 その時、 「そっちも頑張れ」 と、潤が囁いた。 振り返ると、後ろ手に手を振る潤の姿。 根っからの、いい人かもしれない。結城先輩は。 千尋はそう思うと同時に、 美凪が結城先輩に惹かれる理由が分かったような気がする。 ・・・とも思った。  
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