*第4章*

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「・・・えらく今日は機嫌がいい  んだなぁ」 「ええ」 常盤は満面の笑顔のまま、答えた。 握られた手の優しさから、嬉しさの度合いが伝わってくるようだった。 「もしかして、エリカ絡みか?  そういえば、この間。  俺のダチから、エリカと常盤  が仲良さそうに話してたのを  見たって聞いたぞ」 「当たり!  ずっと喧嘩みたいになってた  んだけどね。  急にエリカが話しかけてきて  くれてねっ」 すごい嬉しそうな顔をする。 よほど、喧嘩になってから今までの間、エリカの事を気にかけていたのだろう、と潤は思った。 「・・・あのさ。   こんな事、言いたくないけ  ど。  エリカ、何か企んでないか」 おかしい。 常盤が生徒会に入る際に、常盤とエリカは喧嘩をしたのだが、その時にエリカは 『常盤、絶対に許さないから』 と、すごい目をして言っていたのだから。 かなりの決意が、あの目には秘められていた。 「・・・そんな事、言わないで。  分かってるから」 笑みは小さくなったが、まだ笑ったままの常盤。 「理由は、絶対にあると思う。  だけど、久しぶりに話しが出  来たから。  エリカ自身から、私に歩み寄  ってきてくれたから。  それだけで、十分だもの」 「・・・常盤」 エリカは、何を考えているんだろうか。 常盤を、利用するつもりなのか? エリカが黒い影の種をまいていた事に、 この時は、 誰も気付く事は無かった。 *  
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