忘れたい過去

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人には忘れたい過去がある。 人には思い出したくない過去がある。 俺の名前は高杉 薫。 大学に通う学生だ、顔や学力は至って普通。 ただ一つだけ難点がある、それは女性に対するトラウマがありなかなか女性と話しをすることが出来なかった。 そのせいで生まれてこの方、女性と一回も付き合った事がなく歯痒い人生の毎日だ。 なぜ女性に対してトラウマがあるかというと小学生の頃、ある一人の女性のせいだった。 あれは俺が小学生に入学したばかりの頃だった。 真新しいランドセルで学校に登校した日に俺はあいつに出会った。 あの頃のあいつは髪の毛も短く、私服の学校だったのでスカートではなく男物のズボンを履いていたため、ぱっと見、男の子にしか見えなかった。 俺は教室に入り席に座ると、友達を作りたくて隣の奴に声をかけた。 「僕、高杉薫って言うんだ、よろしくね」 ためらいもなく声をかけた事を今でも後悔してる。 「…………………」 「なんだよ無視すんなよ、女みたいな顔してさ」 「……女みたい?」 「そう女みたいな顔、オカマみたい」 小学生というのは残酷な生き物で平気で悪口を言ってしまう 「……オカマね、ちょっとこっち来て」 「なんだよ?」 俺は暗い奴だなと思いつつもそいつの後をついて行った。
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